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セブでIT法人を設立する手順と費用:外資100%での起業

読了の目安: 約 7 分

みなさんは、海外での起業に興味はお有りでしょうか?
私は10年以上のWeb制作やマーケティングの経験を活かし、フィリピンのセブ島でIT会社を設立・運営しています。

海外、特に東南アジアでの法人設立と聞くと「手続きが不透明」「外資規制が厳しい」というイメージを持つ方が多いかもしれません。

実は盲点なのですが、IT業種はフィリピンにおいて外国人100%出資での参入がカンタンだったりします。

今回は、私が実際にセブ島で法人を設立したプロセス、当時かかった具体的な費用、そして現地ならではの注意点について、不要な脚色を排してシンプルに共有します。

※ 2024年時点の情報です。設立を検討する前に最新の情報をお確かめください。

フィリピンのIT業種が外国人の新規参入に最適な理由と外資規制の緩和

フィリピンでビジネスを展開する際、最大の障壁となるのが「ネガティブリスト」と呼ばれる外資参入に対する規制です。これは、特定の業種において外国人の出資比率を制限(または禁止)する法律です。

しかし、IT業種は専門性が高く、現地の経済発展や雇用創出に直結するため、このネガティブリストの制限から除外されています。つまり、日本人が現地でオーナーとなり、外資100%のIT法人を設立することが法的に認められています。

また、少人数での設立が可能になったことも大きな利点です。わずか3名の取締役(ボードメンバー)がいれば会社を登記できました。

小規模なスタートアップやオフショア拠点としての進出ハードルが大幅に下がりますよね。

証券取引委員会から内国歳入庁まで:登記完了までの現実的なタイムライン

フィリピンでの手続きにおいて、「日本の常識的なスケジュール感覚」は全く通用しません。
予期せぬトラブルや行政の遅延が発生することを前提に動く必要があります。

私の場合、2021年から準備を進めていたものの、パンデミックによるロックダウンや、セブ島を襲った超大型台風(オデット)の影響が重なり、スケジュールが大幅に後ろ倒しになりました。

実務的な書類準備を本格化させたのは2022年初頭で、最終的な登記が完了したのは同年7月です。さらに、正式な原本書類が手元にすべて揃ったのは12月でした。フィリピンではこうした数ヶ月単位の遅延は一般的であり、トラブルではなく「仕様」として割り切る が鉄則です。

法人設立にあたり、主に以下の3つの機関への登録が必須となります。

  • 証券取引委員会(SEC):会社の基本登記を行う最重要機関
  • 地方自治体(LGU):オフィスを構えるエリアの役所で営業許可(ビジネスパーミット)を取得
  • 内国歳入庁(BIR):納税のための税務署登録

また、手続きの過程で「それ必要?」と日本だと不思議な書類を求められることがあります。

例えば、代表者が健康であることを証明するために現地の病院で撮影したレントゲン写真の提出が必要だったり、特定のサイズ指定がある証明写真が大量に必要になったりします。

フィリピン人は成人病大国。会社設立後、経営者が糖尿や高血圧など突然病気になり会社が存続できないケースも有るため、レントゲンを求められるみたいです。

セブ島の法人設立費用:ローカルエージェントの活用で相場より安く抑える手法

海外法人設立のコストを左右する最大の要因は、どのエージェント(代行業者)に依頼するかです。

インターネットで「フィリピン 法人設立 代行」と検索すると、日系の大手コンサルティング会社などが数多くヒットします。

その費用の相場はおおむね30万〜50万円程度。
日本語での手厚いサポートが含まれるため妥当な金額ではありますが、初期費用を抑えたい場合は断然ローカルエージェントがオススメです。

私は、現地の知人が経営するローカル(フィリピン人経営)のエージェントに直接依頼をしました。

法人設立にかかったトータルの費用はたった 51,130ペソ(当時のレートで約13万〜14万円) となり、一般的な相場の3分の1程度に抑えることができました。

問題は言語の壁。
ローカルエージェントとのやり取りは当然すべて英語です。さらに、進捗管理をこちらから頻繁に突っつく必要はあります。

住所制限や社名却下など:実務で直面したトラブルと海外経営の障壁

実際に動いてみて初めてわかる、海外ならではの障壁やルール変更のリスクも存在します。実務において特に注意すべき点は以下の3つです。

コンドミニアムの住所は使用不可

最初は、初期費用を抑えるために、自分が住んでいる賃貸コンドミニアム(マンション)の住所で登記しようと考えましたが、私の住んでいる場所ではNGでした。法人登録には、商業用として専用のオフィススペーの契約が無難です。私はバーチャルオフィスを契約したため費用を抑えることができました。

公的手続きですら判断は担当依存

当初、私は「レンズラボ(Lenz Lab)」という社名で申請を出しました。
しかし、SECの担当者から「Lab(研究所)という単語と、実際のIT事業内容が一致していない」という論理で一度申請を却下されました。
他社で社名と事業内容が一致どころか、意味不明な会社名ですら存在するので全く納得いきませんでした。

これはフィリピンあるあるで、公的手続きですら判断は明確なガイドラインがなく担当に委ねられていることがほとんどです。

しぶしぶ「レンズテクノロジーズ(Lenz Technologies)」に社名を変更して再申請を行う羽目になり、時間的なロスが発生しました。

突発的な法律や規制の変化

フィリピンでは、予告なしに新しい税制や雇用に関する規制が施行されることが珍しくありません。
昨日まで通じていたやり方が今日も通用するとは限らないため、現地の最新情報に常にアンテナを張り、変化に振り回されるリスクをあらかじめ経営計画に織り込んでおく覚悟が必要です。

税制優遇と質の高い人脈:フィリピンでIT会社を経営する2つの合理的メリット

多くの苦労がある一方で、セブ島で会社を経営することには、それ以上のリターンがあります。

一つ目は、明らかな税制面の優遇です。フィリピンの標準的な法人税率は25% ですが、中小企業に対する軽減税率措置が適用されると20%まで下がります。
日本の法人税(地方税などを含めると実質約30%)と比較して約10%のコストアドバンテージがあるため、企業のキャッシュフローを健全に保ちやすい環境です。

二つ目は、経営者コミュニティの質の高さと距離の近さです。セブ島には、日本でバイアウトを経験した起業家や、アジア全域で勝負を仕掛けているトップランナーの日本人経営者が数多く集まっています。

日本国内であればアポイントすら取れないような著名な経営者と、現地のカフェや異業種交流会で日常的にフラットに出会うことができます。ここで得られる一次情報やビジネスマッチングの機会は、会社の成長において計り知れない価値を持ちます。

終わりに:リスクを織り込んだ上での海外進出は十分に合理的である

東南アジアでの法人設立は、手続きの遅延やルールの変更といったリスキーな一面があります。

しかし、IT分野における外資100%解禁、割安なローカルエージェントの存在、そして税制メリットや強力な人脈環境を考慮すると、セブ島への進出はリスクに対してのリターンは十分です。

興味のある方は一度、セブを訪れてみてはいかがでしょうか?