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青い海だけではないセブ島へ。ITパークの歴史と「セブ観音」に手を合わせる意味

読了の目安: 約 5 分

こんにちは、Lenz の神守です。
私が住んでいるITパークはセブ島屈指のビジネス街。
国内外を始めとする企業がビルにオフィスを構え、住居となるコンドミニアムや商業施設も充実しています。

フィリピンは、かつて日本がこの地を占領し、過酷な激動の渦に巻き込んでいった時代がありました。 かつて戦時中、日本軍の「南飛行場」として機能し、多くの特攻隊員たちが最期の空へと飛び立っていった滑走路の跡地なのです。

第二次世界大戦期、現在のセブITパーク周辺に位置していた日本海軍の「セブ南飛行場(旧ラホグ飛行場)」のアーカイブ航空写真。

画像引用元:182nd Infantry Official Website

セブ島ITパークの原風景と、マルコポーロの丘に佇む「セブ観音」

セブ市内マルコ・ポーロ・プラザ

マルコ・ポーロ・プラザ

第二次世界大戦中戦火の中で散っていった若い戦没者たちの魂を慰めるため、ひっそりと建てられた「セブ観音」と呼ばれる場所があります。

ITパークを見下ろす丘の上、マルコポーロ・プラザ・セブの静かなテニスコートの脇に、その観音像は今も佇んでいます。華やかなホテルの敷地内でありながら、そこだけが時間の流れから切り離されたかのように、ただ静かに、孤独に歴史を物語っています。

セブ島ITパークの原風景と、マルコポーロの丘に佇む「セブ観音」

マルコポーロの丘に佇む「セブ観音」

ここで命を落とした隊員たちの多くは、まだ二十歳前後の、これからの未来を生きるはずだった若者たちでした。

もしも戦争という巨大な不条理がなければ、彼らは故郷へ帰り、愛する人と出会い、温かい家族を築いていたはずです。

あるいは、もしそうなっていたなら、その子供たちや、その先に生まれたかもしれない彼らの孫は、いま私の隣で笑い合っている恋人や、かけがえのない親友、あるいはビジネスを共にする大切なパートナーになっていたかもしれない——。

現代へと繋がっていたはずの「命」は無残に散っていきました。

日系フィリピン人が歩んだ戦後の苦難

戦争の悲劇は、1945年の終戦で終わったわけではありませんでした。

今年のはじめ、年配の日系フィリピン人の方にお会いする機会がありました。
その方から伺った戦後の暮らしは、いかに生き抜くのが大変だったかという現実の連続でした。

戦後のフィリピンでは、日本の血を引いていることで激しい偏見や差別の対象になることも多く、ルーツを必死に隠しながら生きざるを得なかったそうです。

国交正常化の裏にあった、知られざる遺骨収集と火葬(焼骨)の現実

このような凄惨な記憶が残る土地だからこそ、終戦後の日比の国交正常化への道のりは、気が遠くなるほどの困難を極めました。
フィリピン側の対日感情が最悪だった時代、戦没者の遺骨収集すら容易には許されませんでした。現地の法規制や国民感情の壁があり、日本の遺族が遺骨をそのままの状態で故郷へ持ち帰ることは認められなかったのです。

そのため、日本から派遣された収集団や有志の方々は、現地で丁寧に火葬(焼骨)を執り行ったそうです。

過去の歴史を乗り越え、アジア屈指の「親日国」となったフィリピンの寛容さ

このような過酷な過去の歴史を経ているにもかかわらず、現在のフィリピン人の我々に対する感情はどうでしょうか?

ありがたいことに、アジアのなかでもトップクラスと言っていいほど、心から日本を愛してくれています。

日本のカルチャー、食事、テクノロジーに対するリスペクトは凄まじく、街を歩けば笑顔で「ジャパン!」と声をかけられます。かつてこれほどの戦争の痛みを味わった国が、これほどまでに寛容に私たち日本人を受け入れ、今では最も過ごしやすい国の一つとして温かく迎え入れてくれている。この奇跡のような現状は、決して当たり前のことではありません。

過去の歴史を乗り越え、アジア屈指の「親日国」となったフィリピンの寛容さ

2026年セブ盆踊り。コスプレなどを楽しむフィリピン人

過去の傷を受け止めながらも、未来に向けて手を差し延べてくれたフィリピンの人々の優しさと、国交正常化以降、両国の先人たちが一歩ずつ積み上げてきた信頼関係の賜物なのです。

青い海だけではないセブ島へ。いまを生きる私たちが手を合わせる意味

私はセブに移住して7年近くになります。
かつての零戦が飛びだったITパークだけでなく、かつての激戦地となったセブの隣のレイテ島のこと、少しだけでも知ってもらったら嬉しいです。

もしみなさんがセブを訪れる機会があったなら、青い海や、白い砂浜の美しさ「光」の部分だけでなく、その足元にあるフィリピンの「歴史」にも、ぜひほんの少しだけ触れてみてください。

そして、マルコポーロの丘の上にあるセブ観音へと足を運んでみてください。